colors

Original Artwork

〈Teaching materials at MIT (Massachusetts Institute of Technology) d.school〉

Contemporary Moving Image Art

Artist : Seiichi Hishikawa

Sound Design : Tatsuya Yamada

フェルメールの絵画から色彩情報を抽出し、サウンドクリエイターのヤマダタツヤ氏によるオリジナル音楽を同期させ、有機的かつ抽象的な造形で表現したContemporary Motion Image Art。色彩構成は欧州とりわけオランダ色が強いが、間(ま)の取り方は日本独特のものを意識して仕上げた。Motion Graphicsを経て、次の映像表現を模索していた頃。当たり前にテレビやパソコンが居住空間にある中で、黒く影を放つモニターが「絵画やポスターのような存在として生活に溶け込むと、どうだろうか?」と思い立ち、つくり始めたひとつの作品。

美術の歴史上、最も進化に溢れたフェルメールなどの中世時代絵画から色彩情報を抽出し、制作者である菱川自身が設定したアルゴリズムによって形や動きを生成している。そのうちのひとつ、「ウルトラマリン」と呼ばれる貴重な青い色は、時代を超えても色褪せない神秘的な色使いでもある。これをデータによる構成で一から生成するのは現代テクノロジーを持ってしても気の遠くなるような作業
音楽は、サウンドクリエイターのヤマダタツヤ氏によるオリジナル。これらを同期させ、有機的かつ抽象的な造形で表現した。

同期させるにあたって留意したのが、日本的な美意識による間(ま)の取り方。緩急のつけ方。数値的な根拠はほとんどなく、坐禅などの経験と記憶をたよりに構成している。数値化が難しいのは、間は一意的なもので設定できず、流れゆく音とその後に尾を引くように残る竜の如くうねる造形と、余白によって与える空間性に由来する相互関係が最も重要だからである。

この作品は「禅」的要素を土台にした無国籍な動くアート作品としてつくられている。言語や宗教といった民族性を極力排除しながら、理由なく心地よさや懐かしさを感じるものを目指した。

*この作品はMIT(マサチューセッツ工科大学) d.schoolにおいて教材として使用されている