舞台「わかろうとはおもっているけど」

贅沢貧乏

Stage Design

山田由梨(劇作家・演出家・俳優)主宰の「贅沢貧乏」による舞台『わかろうとはおもっているけど』。男女の間にある差異を繊細に捉え、双方の理解し難い事実を聡明に一つの物語として紡ぎながらも、やわらかな美術と融和する舞台作品。2019年に幕を開けた本作のステージデザインやアートワークなどを鈴木友唯が担当。2022年11月にはパリ公演を予定。

▽国際交流基金とEPADの共同による『STAGE BEYOND BORDERS』で、2023年3月19日まで全編無料公開(英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、日本語の字幕付き)

https://stagebb.jpf.go.jp/stage/im-trying-to-understand-you-but/

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概要
劇団「贅沢貧乏」は、山田由梨(劇作家・演出家・俳優)が2012年に旗揚げし、社会と演劇をやわらかくつなぎながら、現代社会の中で弱い立場に置かれてしまう人々の声をすくいとるような作品を数多く創作してきた。
15作品目となる『わかろうとはおもっているけど』に登場するのは、テル(彼女)とこうちゃん(彼氏)というどこにでもいるような普通のカップル。あるとき、テルが妊娠した、という出来事から空気が変わり始め、彼女の友だちやなぜか家にいるメイドたちを巻き込んでゆく。
「女性」と「男性」の「わかりあえなさ」を「わかりあおうと」した先にあるものを問いかけ、TPAM 2019 fringeで上演されるなど話題を呼んだ(JAPAN FOUNDATION 国際交流基金)。


贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』
作・演出:山田由梨
出演:島田桃子 山本雅幸 田島ゆみか 大竹このみ 青山祥子

“よりよく生きるために、女は男を食べるかもしれない。すいません、いただきます。”

最近、人間の男と女について考えている。
人間はいつの間にか動物からかなり遠い存在になってしまった。
そしてもうそれは逆戻りすることはないと思う。
動物界では、オスとメスは”平等”なのだろうか。
人間界における、男女の”平等”とはなんなのか。
同じ権利を持つこと?
ちょっと待って、”平等”について考える前に、
男女は思っているよりももっと違う生き物なのかもしれない。
じゃあ、違う生き物同士は対話をしてわかりあえるのだろうか。
人間とサイは分かり合えそうか?
それはそうと、カマキリのメスは交尾中にオスを食べて栄養にするらしい。
そこに対話はありそうだろうか。
「僕を食べて、丈夫な子供を育てておくれ。」
「栄養にするから、食べていい?」
いやいやいや、戦争になるかも。戦争はしたくないなあ。

贅沢貧乏とは:
2012年旗揚げ。山田由梨(劇作家・演出家・俳優)主宰。
舞台と客席、現実と異世界、正常と狂気の境界線をシームレスに行き来しながら、現代の日本社会が抱える問題をポップに、かろやかに浮かび上がらせる作風を特徴とする。
2014年より一軒家やアパートを長期的に借りて創作・稽古・上演を実施する「家プロジェクト(uchi-project)」の活動を展開。一軒家を丸ごと使った観客移動型の群像劇『ヘイセイ・アパートメント』や、アパートの一室で3ヶ月間に及ぶロングラン上演を実施するなど、既存の上演体制にこだわらない、柔軟で実験的試みを行なう。2017年には『フィクション・シティー』で史上最年少にて芸劇eyes単独公演を行い、同作が第62回岸田國士戯曲賞最終候補にノミネートされる。同年、『みんなよるがこわい』中国ツアー(杭州・南京・武漢)を実施、2018年には中国人俳優とともに中国版『みんなよるがこわい』を創作するなど、国内外で活動の幅を広げている。

翻訳:クリス・グレゴリー
アートディレクション:鈴木友唯
舞台監督:河村竜也
音響:金光佑実
衣装:山口大樹
美術助手:櫻井南
制作:堀朝美
協力:アプレ / アミューズ / 青年団 / レトル / ロロ / DRAWING AND MANUAL / VACANT
企画製作・主催:(社)贅沢貧乏