八重の桜 タイトルバック Type #1-12
NHK 大河ドラマ
TV Drama Titleback - Art Direction
3.11の東日本大震災の後企画され1年半の制作を経て放送が始まった大河ドラマ「八重の桜」。日本国内では企画当初、映像業界をはじめとしたデザイン・クリエイティブの現場を取り巻くムードは重苦しいものだった。クリエイターの中には「デザインやクリエイティブの仕事はこの震災の中での混乱で何も役に立てない」と考えてしまう人も少なくなかった。このドラマの企画が立ち上がった際に真っ先に提案したのはクリエイター達が世の方々に希望を与えられるようなものをたくさんつくる。というもの。それは毎月異なったイメージのタイトルバックを12組のクリエイターがそれぞれ用意して様々な表現をすることや、その制作の過程でできた創作物を展覧会などに提供して役立てるというもの。通例ではドラマのタイトルバック(オープニング)というものは第一話から最終話までを1つのイメージで貫くことだった。しかし、それを毎月変えていくということはクリエイター側への負担や制作サイドの作業の増加になる。それを押し切ってのスタートだった。オープニング全体のアートディレクションをDRAWING AND MANUALの菱川が担当し、12組のクリエイターで1年間ドラマが新しく、楽しく感じる工夫をした。参加したクリエイターは京都を拠点に活躍するテキスタイルデザイナーの小野山和代氏、New Yorkと日本で活躍するイラストレーターの福光彩子氏、クリエイティブチームのWOW、会津木綿の山田織元とそれを染める藍染職人の矢野藍秀氏、染色作家の古屋絵菜氏、同志社出身の気鋭の書道家 川尾朋子氏、クリエイターのGenki Ito氏、クリエイティブチームのTYMOTE(現 CEKAI)、クリエイティブチームのPARTY、クリエイティブチームのsemitransparent Design、東北のテマヒマ展を成功させたトム・ヴィンセント氏と山中有氏、そして菱川。統一のイメージとしたのがタイトルバックのラストカットに桜色の和傘が地面いっぱいに広がるという映像。この映像には370人ほどの被災者を含む会津若松の小学生が参加し、和傘の制作は京都にある老舗和傘工房の日吉屋が短期間に400本にわたる桜色の和傘を制作し提供してくれた。本編でのクレジットの記載は無いが、タイトルバックに登場する新島八重の衣装はISSEY MIYAKEが無償提供していることを書き添えたい。そしてテーマ音楽は坂本龍一氏とNHK交響楽団による渾身の楽曲。坂本氏はタイトルバックに登場する樹齢800年の桜の樹に触れて作曲をした。東北、会津の歴史、そして震災直後の日本という重責のキーワードを背負い、数多くのエピソードを生んだ歴史的ドラマと言えるだろう。
会津編 / Aizu
2013年1月版 Featuring Artist 小野山和代
2013年2月版 Featuring Artist 福光彩子
2013年3月版 Featuring Artist WOW
2013年4月版 Featuring Artist 矢野藍秀+山田織元
2013年5月版 Featuring Artist 古屋絵菜
2013年6月版 Featuring Artist 川尾朋子
2013年7月版 Featuring Artist 伊東玄己
2013年8月版 Featuring Artist semitransparent design
京都編 / Kyoto
2013年9月版 Featuring Artist TYMOTE
2013年10月版 Featuring Artist PARTY
2013年11月版 Featuring Artist トム・ヴィンセント+山中有
2013年12月版 Featuring Artist 菱川勢一
Director + Cinematographer: Seiichi Hishikawa (DRAWING AND MANUAL)
1st Assistant Director: Yutaka Obara (DRAWING AND MANUAL)
Line Producer: Takashi Ueno, Noritaka Moriguchi, Koji Karatsu (DRAWING AND MANUAL)